おせち2品

熊本に暮らすようになり、お正月になると必ずのように作る2品をご紹介します。
ひとつは “からしれんこん”。熊本の郷土料理として知られていますが、手作りするご家庭はそう多くはないのではないかと思います。発祥は、細川藩主・細川忠利のために家臣が献上したものと言われ、切り口が細川家の家紋 “九曜紋” に似ています。私は元旦の朝、御祀堂の前に植っているくちなしの木から完熟の実をもぎ、その鮮やかな黄色を衣に移します。お正月も熱いものは熱く食べたい、食べてもらいたい、そんな思いを込めて、揚げたてをこしらえるのです。
もうひとつは “焼きいもきんとん”。秋から冬にかけて、泰勝寺の庭では何度となく焼きいもをします。落ち葉を集めて火をおこし、さつまいもを焼く。熊本のさつまいもはただでさえとても甘くておいしいのですが、焚き火で焼くとよりいっそう甘みが増し、時によっては砂糖を入れなくても甘いきんとんができます。
秋に阿蘇の山で拾い、熟成させておいた栗と合わせて作る我が家ならではのきんとん。ぜひ今年は、みなさんのおせちの中に組み入れていただければ何よりです。