真夏のイタリア料理

8月の料理教室では、なるべく少ない材料を組み合わせて、主の素材の魅力を最大限に引き出すことをテーマに献立を考えました。私がはじめてイタリアで料理を学んだ時、一番感心したのはまさにそのことでした。たったこれだけの材料で、たったこれだけの調理で、こんなにおいしくなるなんて。最初はそれが驚きでしたが、料理を食べ続けているうちに、“たったこれだけだからこそ”生まれるおいしさがあるのだということに気がつきました。

暑さが厳しく、しばしば激しい雨が降る夏の熊本では、8月は野菜の元気がなくなることも少なくありません。そんな時、わずかな食材で豊かな味わいを生み出す工夫をするのは、とても大切だと思います。また、暑い時期にはなるべく火の前に立つ時間を減らせるといいですね。時間、温度、調味料…それぞれの料理の要は異なりますが、“おいしい理由”を見つけられたら、あとは他の様々な食材にも応用できると思います。

夏は大の苦手な私も、夏の料理はとても好きです。みずみずしい野菜や果物をたっぷりと食べて、からだも心も元気に過ごしたいものですね。